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大体酩酊してゐる

0日/9日

閉じた瞼の裏に、トンネルのライトの光が当たる。

蛍光灯だろうか、もうLEDになっているのだろうか、くり抜かれた山の中を煌々と照らしている。

 

遠くに行こうよ、と仕事が終わったタイミングで助手席に詰め込まれて。

 

時速100キロでいくつもトンネルを通りながら、最終的にどこへ行くのかを私は聞けなかった。

ちょうど台風が上陸していて、時折強い雨粒が、窓や車の上で弾ける。

時間が経つにつれ勢いは強くなって、水の中を走っているようだった。

 

まだしばらく走るから寝てなよ、と言われて目を閉じる、けど眠れない。

眠れるわけがない。

 

休憩、と入った聞いたことのない名前のSAは賑わっていた。

いつもは、というかカーテンが締め切られた長距離バスの中しか知らないので、大きなライトが眩しいのも、車の音がうるさいのもほとんど初めてだった。

 

眠れない、寝ようと思うとますます眠れない。

せめてアルコールでも飲めれば、と思ったけど、運転ができないのにそんなことは言えない。普通。

 

気がつくと後部座席から小さい寝息が聞こえて、悲しくなる。

残酷なことをしている。私たちはきっと残酷なことをする。

どうしてこんな場所にいるんだろう、眠気は瞼を重くする、だけど眠れない、脳もどろどろして、

 

「ラーメン食いてー」

騒々しい、若い男の声で目覚めたふりをして、体を起こす。午前4時は当たり前に夜で、早く朝になればいいと思った。眠れない夜は早く終わってほしい。

 

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*

 

「まだ自分が行ったことのない県に行ってみたいと思って」

薄らと朝になる頃に到着したのはそんな理由で選んだ場所で、もちろん私も行ったことはなく、ひたすらに遠いところにあった。遠すぎて、選択肢にも入らないような。

目的地以外は平地にも山にも特産の果物の木が植えてあった。あとは、ほとんど何もない。

ぽつりぽつりと民家と、作業小屋、たまに重機があるだけで集合住宅は1棟も見つけられなかった。

遠くに見える山にも、高速道路沿いの山にも普段住んでいる片田舎ではほとんど見られない雲海がかかっていて、柄にもなくはしゃいでみせると、やっとテンションが上がったみたいでよかった、と笑った。

 

*

帰り道は天気も落ち着いていて、道路も空いていたのであっという間だった。

「2泊くらいしようかと思っていたのに0泊になった、ごめんね」

結局、どのタイミングでもほとんど眠っていなかったので、こういう時に感情が追いつかない。

何がごめんねなんだろう、たぶん、きっと悪いとは少しも思っていないのに。

行き先も食べたいものも託したのは私なのに。

こういうとき、例えるなら自分は食後に惰性で食べる、安いアイスみたいだと思う。

最初はおいしいけど、最後の方は食べなくてもよかったな、なんて。余計なカロリーでしかない。

 

*

 

部屋に帰ると、髪は最後に使ったシャンプーの匂いと、普段と違う、きしきしした手触りがした。

2日ぶりにアルコールを胃に入れると、急に感覚がはっきりする、それは悲しいとかさみしいとか、もっと一緒にいたかったとか、そういう気持ちではなくて、楽しかったはずなのにそれを否定しなくてはいけないような、

そもそも2回の夜の間で交わすには多すぎた言葉が急に押し寄せて混乱する、はっきり混乱している、可愛いも好きもないのに、嘘でもそう言ってくれたらよかったのに、

なんて、急に自分に酔っているような気がしてグラスの残りを流す。きもちわるい。

 

帰路は落ち着いていた雨が、また強く降り続いている。携帯の電波を切って、眠る。

あたしのエンドロール

我こそが満たされない吉牛を求め続ける者としての自覚がある、たくさんあるけど、いざ好意がありますよと言われるとそれはそれで安定の自己肯定感の低さで「私はやめておいたほうがいい」などと発言するので、本当、私は……

 

終わってるねーーーー!!!!

 

予定のない3連休、何もしないしできないし、誰とも会いたくない

なお架空の人物は9連休しているので素直にリア充ってすげえなと思っている

 

必要なペイン

先週、初めてライブビューイングというかたちで観劇してきた。

居住している地域では唯一、県庁所在地の映画館で開催されているので、電車で片道1時間かけて行くはずだったけれど、甘やかされているので行きは車に乗せてもらった。

訳の分からない疫病が蔓延してから改めて興味を持つようになったのが、ミュージカルと洋裁で、某ミュージカルに関しては歴が浅すぎて語るのは身の程知らずな気がするけど少しだけ。

トップスターが演じているリストが「天才たちのように夭折したい〜」とか、その彼のライバル、どうしようもない天才ショパンが残酷なくらい綺麗な笑顔で舞っているのがウワーータマランーーースキーーー

など、そもそもがキモ・オタクなので語彙力をなくすくらい楽しかった。音は大きいし、閉じ込められているので集中できるし。

そしてエアーハグは尊い。本来なら生で観たかったけど。

こればかりは。

 

おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***以下嘘日記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色素沈着した浅い傷が、よくなった、と急に言われて動揺するなど。

 

事実傷だらけ、傷があったほうが生きやすい、自分が傷ついているのがわかりやすいから、

 

現実、ただのうのうと生きているようにみえて、私だって人なりにそれなりに考えて傷ついている、その事実は、その事実が、わたしにだってある。

でもそれは誰かに知ってほしい、認めてほしいことではなくて、本当に自分の問題として、向き合えないどうしようもない個人的な問題として、ずっとある。

伸ばせない爪、消えないあざ、白い傷跡。

気だるい内臓を醜い皮膚が包んでいる。

ただそれだけのこと。そうやって日々をやり過ごしてきた、この歳まで。

不器用なほうの、自分の機嫌を自分で取れる人間をやっている、ひとりで。

 

だから、詳細を、じっと見て目を背けたり言及したりしない距離感が、平行線を保つのに丁度いいのかもしれないと思っていた。

……保ちたいわけではない、バランスが狂うのは嫌だけど。

落ちることはあっても登ることはできない、現状にしがみついてなんとかしている。かわいそうじゃない、痛い子じゃない、少し狂っているだけ。

本人でさえこんな、意味のわからない言い訳みたいなことをぐずぐず書いては消し書いては消し、

見ないようにしているのは私だって同じなのだから、急に寄り添うようなことは言わないでほしい、それは要らないほうの痛みになるから。

イッツマイドリーム ユアマイホープ

「終わるのが嫌だから新シリーズ全部録画してるけど1話も観てない」

「極端なヲタクみたいなことを言いますね」

ちょっと前まではニチアサをリアタイしたくて朝7時に起きていたけど、体力的にちょっと無理で、こうして僕は大人になる、なっていくなどと(眼鏡のつるをかじる表紙ですよ、誰にも伝わらないけど)

 

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仕事が限界すぎていっそ全部やめたい。

やめたい癖、リセット癖が定期的にあるので学生時代の友人、特に同性で地元の、が皆無。

ぼんやりした人生で孤独だけがはっきりしている。

満塁 本塁打

私のせいで、私が存在するせいで、不愉快になる、そういう人がいるから、実際いるから

それなら私がいないほうがいいのかなって、全部やめた方がいいのかなって、そういうふうに言ったら

あなたは、引き止めてくれるのかしら

 

なんて思って、口に出して言いたくなって、やめる。

明日が来る前に

月曜日、荒天対応

火曜日、催事対応

水曜日、疫病対応

木曜日、荒天対応

金曜日、書類訂正でブチギレ

 

「何を書いてあるのかわかりません、あえてですか?」

「わざとじゃないんだよ」

 

寄り道をして、割高のアルコールをコンビニで買う、冷たい炭酸でも飲まないとやっていられない。レジに並ぶと、ちょうど入店してきた4月の途中に入社してきた若い女と目が合う。

「あっ」

そう声を出して目を逸らされる。傷つく。

 

どうして傷つかなきゃいけないのか、なかったことにされた私が。

繊細すぎる。生きるのが下手すぎる。

高圧的にこちらから大きい、というかでかい声で挨拶でもしてやればよかった。

もやもや、生ぬるい不愉快な気持ち、なかったことにされることなんて、人生で数え切れないほどある。

「存在感がないからわからなかった」

「何を言ってるのか聞こえません」

薄ら笑いの含んだ、一旦存在しないことにしたのに、存在していることにした、ものへの批判。

そう言う側の気持ち、なのかもしれない、彼女は。順風満帆な人生。ひとつも憧れない。

もういい、内線ひとつも取らないのに、取れないのにいい身分だな!と勝手に低評価をして割り切る。

これだから最近の若い人は、とか、やってらんないとか、そう、ひとりごちて。

私が一等厄介なのかも。ね、と。

 

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以下、嘘日記

 

燃え尽きたか、猛暑で弱ったか、とにかく気分が晴れない。

節電だかなんだか知らないけど職場の冷房がすぐに切られる。寒い人がいるらしい。換気で開けた窓も閉める輩がいて、不快指数が毎日ものすごく高い。

決して涼しい地域ではない、むしろ全国の猛暑ランキングにはいるのに、どうしてーー?

 

嫌だ嫌だ、頭痛と吐き気とぐらぐらする視界でこれは毎日熱中症なのでは?

「会社でこのフロアだけ、あったかいですね(嫌味)」

「なんかそうなんだよね」

「まあ、冷房がついてませんからね(問題提起)」

「そうなの!?」

 

どうして私が問題提起をしなくてはならないのか、不愉快指数が高まり、高まって、もう限界。

 

傷ついてます、私は。ひとつひとつが積み重なって、本当は冷房のことなんてどうでもいいんです、勝手に温度下げるし。

でも一回限界になると自分でも気持ちが制御できない。やり過ごせない。割り切ったふりをして、極端に面倒くさい方向に物事を持っていく、勝手に。

健康診断があるとか、もう関係ない。可視化しないと、傷ついた気持ちはどこにも行かない。

びびび、と音がして、熱を感じて、

 

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知ったふうな口を聞かれるのが嫌だ。

同情も批判もいらない、興味も持たないで、だって手っ取り早いストレス解消だから、痛いよね、でもね、

言葉をたくさん用意していた。

けど何も言わなかった。それでよかった。

 

余計なものは、明日が来る前に飲み込んで、全部。

みゃくみゃくにゃくねゃく

万博とかオリンピックとか興味ない私かっこいーとおもっていたけど、まじめに作っているものだからちゃんと見ると面白い。金の行き先はひどいのでしょうけど。

 

待遇がよくないと思う、そう伝えると余計にひどくなりそうで黙っていた結果、3年分の恨みつらみが爆発して、何人かの男に慰めてもらった。去ね去ね、はよ去ね、口に出して言ってしまう。

私がにこにこしてれば済むと思ってる。話しかけやすいから。にこにこ(去ね)

 

「貴女は賢いから、そう思うのも仕方ない」は全然救いにならない。賢くないはやく去んだほがいい。溢れた感情の制御ができなくて、傷を作ったりする。

痛いのかもしれない、そうやってようやく自分が傷ついているのを自覚する。

不器用なのかもしれない。普通に泣いたり笑ったりしたらケロイドもできないのに。

 

みゃくみゃく。

みゃくにゃく、ねゃく。

みゃくみゃくのグッズがたくさんほしい。かわいい。

 

**以下嘘自由律俳句

 

雑談メールをほぼしないので何も送れない