***

大体酩酊してゐる

出口は塞がれている

「君の話し方は、物語を書く人のそれだから」

 

知ってるよ、とは言わなかった。

深夜、広めの湯船に浸かって仕事とプライベートの混じった話をしていて、ふと、そんなふうに評価されても私にはもう何も書ける気がしないから。

そもそも書き上げる努力ができない時点で向いていない。私が書いたものを、誰かに読んで欲しいと思う気持ち、そういうタイプの承認欲求が弱く、低くなっている。

衰えた感受性、堕落して爛れた生活、10年後自分がそうなるとあの頃の私は想像できなかった。そういうことなのかもしれない。

 

(でも正直なところ、ここはそういう書きたいけど書けないの整理をする場所)

 

「何でもいいから書いたらいいのに」

「最近はそれどころじゃなくて、」

なぜか最近一日一食だし、平日は4時間しか眠れないし、仕事は増えても評価されている気がしないし、言い訳を積み上げてみて言うのをやめる。

もう出ましょう、と立ち上がると何故か笑った。どうして、と。

 

 

記憶にも身体にも痣をつけてしまった、夜明け前。椋鳥たちは電線の上で眠っている。

差し出された手に触れないまま、交差点を横切る、このままどこかに行ってしまいたいけど、出口は塞がれている。

私はこの人とは目をあわせない。